メンタルケア

職場でのセルフケア:5つの簡単な実践方法

2024年1月10日
Hanacel合同会社 古山あかり
約10分
職場でのセルフケア:5つの簡単な実践方法

仕事中の疲れ、放置していませんか

休憩なしで一日中パソコンと向き合い、気づいたら肩がカチカチ。夕方になると頭も重く、帰る頃にはヘトヘト。こんな日々を送っているビジネスパーソンは少なくありません。

忙しいと、つい自分のケアは後回しになります。でも実際のところ、ほんの数分のセルフケアが仕事の質を左右することもあるのです。

ここでは、職場で無理なく取り入れられる5つのセルフケアを紹介します。特別な道具はいりません。今いる場所で、すぐに始められるものばかりです。

なぜ職場でのケアが必要なのか

厚生労働省の調査では、職場でストレスを感じている労働者は約6割に上ります。慢性的なストレスは集中力や判断力を鈍らせるだけでなく、心身の健康を蝕んでいきます。

「セルフケアなんて余裕がある人の話」と思うかもしれません。しかし実は逆です。忙しい人ほど、意識的にケアの時間を作る必要があります。それが長く健康に働き続ける鍵になります。

【方法1】2分間の深呼吸でリセット

いつやるか: 会議の前後、昼休み、気持ちを切り替えたい時

デスクに座ったままできる、最もシンプルで効果的な方法です。場所も道具も選びません。

やり方:

  1. 背筋を軽く伸ばして座る
  2. 4秒かけて鼻から息を吸う
  3. 2秒止める
  4. 6秒かけて口から吐く
  5. 5〜6回繰り返す

これだけです。

深呼吸は副交感神経を刺激して、体をリラックスモードに切り替えます。心拍数が落ち着き、血圧が安定し、頭がすっきりします。ハーバード大学医学部の研究でも、規則的な深呼吸がストレスホルモンを減らすことが分かっています。

緊張する会議の前や、イライラした時に試してみてください。たった2分で、驚くほど気持ちが落ち着きます。

【方法2】50分働いたら5分休む

いつやるか: 作業の区切りごと

ぶっ通しで働いても、実は効率は上がりません。脳科学の世界では、人間の集中力は50分程度が限界とされています。

やり方:

  1. タイマーを50分にセット
  2. 集中して作業
  3. 鳴ったら必ず5分休憩
  4. 休憩中は席を立つ:
    • 窓の外を見る
    • 軽く体を動かす
    • 水を飲む、トイレに行く
    • ちょっと歩く

この「マイクロブレイク」、馬鹿にできません。

定期的な小休憩は脳の疲労を回復させ、次の仕事への集中力を保ちます。座りっぱなしによる腰痛や肩こりも防げます。Microsoftの調査では、定期的に休憩を取る社員の生産性が13%高かったという結果も出ています。

休憩は怠けではありません。むしろパフォーマンスを上げるための戦略です。

【方法3】座ったままできるストレッチ

いつやるか: 体がこわばってきた時、眠気が襲ってきた時

会議中でもできる、目立たない3つのストレッチがあります。

首と肩(各15秒)

右手を頭の上から左耳にあて、ゆっくり右に倒します。左肩が上がらないように注意。反対側も同じです。首筋が伸びるのを感じられるはずです。

肩甲骨まわし(10回)

両手を肩に置いて、肘で大きく円を描きます。前に5回、後ろに5回。肩甲骨周りがじんわり温かくなってきます。

体側伸ばし(各20秒)

両手を組んで天井へ。そのまま左右にゆっくり倒します。脇腹が伸びて気持ちいいです。

筋肉の緊張は血流を悪くし、疲労物質を溜め込みます。こまめに伸ばすことで血の巡りが良くなり、脳への酸素供給も改善されます。理学療法の研究でも、ストレッチが慢性疲労の軽減に効くことが示されています。

デスクワーク中心なら、1日3〜4回を目安に取り入れてみてください。

【方法4】1分間、今に戻る

いつやるか: 頭が混乱してきた時、焦りを感じた時

マインドフルネスと聞くと難しそうですが、1分でできる簡単版があります。

やり方:

  1. 目を閉じるか、視線を落とす
  2. 足の裏の感覚に意識を向ける
  3. 椅子に触れているお尻を感じる
  4. 鼻を通る呼吸を観察する
  5. 周りの音をただ聞く

判断しません。ただ感じるだけです。

私たちの頭は、過去を後悔したり未来を心配したりで忙しいものです。マインドフルネスは「今ここ」に戻る練習です。そうすることで、ぐるぐる回る思考から抜け出せます。

ハーバード大学の研究でも、8週間のマインドフルネス実践で、ストレスに関わる脳の部位が縮小し、記憶に関わる部位が大きくなりました。1分間でも、心を落ち着かせて頭をクリアにする効果があります。

複数のタスクで頭がパンクしそうな時、この「1分リセット」を試してみてください。

【方法5】昼食はスマホを置いて

いつやるか: 昼休み

ランチ中もスマホでメールチェック、SNSスクロール。そんな「ながら食べ」が習慣になっていませんか。

やり方:

  1. 昼食時、スマホを引き出しにしまう
  2. 食事の味や食感に集中する
  3. 同僚がいれば会話を楽しむ
  4. 一人なら景色を見ながら静かに食べる

シンプルですが、効果は大きいです。

スマホの通知は脳を常に警戒モードにします。これは自律神経の交感神経(戦闘モード)を優位にして、休息を妨げます。

昼休みにデバイスから離れると、脳は本当の意味で休めます。食事に集中することは消化も助けますし、満足感も高まります。カリフォルニア大学の研究では、デジタルデトックスした人の86%が「ストレスが減った」と答えています。

毎日は無理でも、週2〜3回から始めてみる価値はあります。

まず一つ、今日から

5つ全部を明日からやろうとすると、それ自体がストレスになります。

まず一つ選んで、1週間続けてみてください。それで十分です。慣れてきたら次を加える。そのくらいのペースでいいのです。

今日できること:

  • この記事を読み終わったら、2分間深呼吸してみる
  • スマホのタイマーを50分にセットしてみる
  • 明日の昼、スマホを引き出しに入れて食べてみる

毎日頑張っている自分の体と心に、ほんの数分でもケアの時間を与えてあげてください。それは決して「甘やかし」ではありません。長く健康に働き続けるための、大切な投資です。

小さな一歩から、変化は始まります。

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