〜「早く」「しっかりと」トラウマを処理する脳と身体と関係性の心理療法〜
世界中にはこれまで数え切れないほどの数の心理療法が開発されています。
しかし、どの心理療法にも悩みが解消すること、幸せになることを目指しているという点では共通の目標を持っています。
ですので、「どの心理療法が一番優れているか」ということを調べるのではなく、まずは自分自身がどのようなことを必要としているかを自身に問いかけていくことが大切です。

ブレインスポッティングとは
ブレインスポッティングという心理療法を聞いたことがある人はそこまで多くはないのではないでしょうか。
これは2003年David Grand博士により開発された心理療法で、欧米や南米を中心に世界に広がり、現在は日本でも広まりつつある心理療法です。
そのためまだセラピーとして実施できるセラピストは限られています。しかしブレインスポッティングは、クライアントの意識下に何年も冷凍保存されているトラウマを処理するのに有効です。

「どこを見るかで感じ方は変わる」という大前提
ブレインスポッティングでは、セラピストがネガティブな感情の源をターゲットにできるよう目の位置を指示棒で探しながら調整をします。ネガティブな感情の源に触れることのできる目の位置を「ブレインスポット」といいます。
ブレインスポットが特定され、クライアントがそのスポットに目線の位置を置くと、そのブレインスポットを通して開かれた苦悩や肉体的な痛み、感情的な痛みを体験することができるようになります。 これはトラウマ体験をそのまま再体験することとは異なります。
ブレインスポットを利用することで、クライアントはセラピストとの「安心・安全」な関係性のもとトラウマを体験することができます。 安全な環境でトラウマ体験にアクセスすることで、クライアントのトラウマの精神的・肉体的な影響を軽減することができ、素早く処理を進めることができるのです。

ブレインスポッティングは脳とどのように向き合うのか
ブレインスポッティングは神経生物学的な仮説に基づいて行われます。
ブレインスポットにアクセスすることで皮質下の活性化、また同時に身体と感情体験を抑制する無顆粒層を含む新皮質の活性化が起こることで、問題にフォーカスした高い活性化状態において身体の抑制機能を働かせ「終わっていなかったトラウマ反応を完了」させ、トラウマの影響を取り除いていきます。
無限大にある神経が結びついて影響しあう中で人間には存在しています。その中で「癒しの本質は来談者の脳にある」と考え、それを唯一の癒しの拠り所としています。人間の脳は言語化できるかどうかにかかわらず、自分の身体をCTスキャンすることができるような働きを持っています。なので本来は自分の脳のどこにトラウマ記憶があるかということを知っているのです。

トラウマ体験が脳内で冷凍保存されるのはなぜ?
自分の存在を(心身共に)脅かす存在を脅威と考えることができ、そのようなストレスの多い経験はすべて大なり小なりトラウマになる可能性があります。
これは通常のメカニズムです。
トラウマ記憶として脳の奥に冷凍保存をするというのは、脳とそれ自体を保護する(そして私たちを保護する)ために脳が無意識で行う作業で、トラウマ体験を乗り越えるため、そうしなければ生き残れないと感じた脳がとっさに取る対処法なのです。
ですのでそのような処理をすることは生きる上では仕方なかったことですし、そのようなものがあることはその人が必死に生き延びようとした証です。
しかし、脳が自分を守るために行うこのような保護メカニズムはしばしば逆効果となってしまうのです。
この結果、ネガティブな経験が鮮明に脳に記録され、さまざまなきっかけで活性化されるトラウマとなり、 感情的および身体的バランスに悪影響を及ぼします。

こんな方におすすめ
大なり小なり身体的または感情的なトラウマを経験したことがある人は、ブレインスポッティングの実施が効果的である可能性があります。
トラウマというとたいそうなことに感じるかもしれませんが、「傷ついた経験」ということとも言い換えられるかもしれません。
そのような方も含めて、以下のような方にとって効果的な治療だといわれています。
- あらゆる形のトラウマ(最近の体験から〜古い体験まで)
- 不安
- 注意力散漫
- 怒りの問題
- 恐怖症
- 依存症
- 慢性疲労と慢性疼痛
- 衝動制御の問題
トラウマケアだけでなくパフォーマンス向上・改善にもアプローチ
スポーツでは「イップス」と呼ばれる現象があります。
イップスとは、
主にスポーツの動作に支障をきたし、突如自分の思い通りのプレー(動き)ができなくなる症状のことである。野球やゴルフ、テニス、ダーツなどのスポーツに多く見られる。学術的には局所性ジストニア(職業性ジストニア)と同義で考えられ、神経疾患に分類されている。脳の構造変化が原因といわれ、同じ動作を過剰に繰り返すことによって発症し得ることが明らかになっている[1]。(wikipediaより)
プロフォルファーに初めて確認された現象ですが、今では他のスポーツでも起きると言われています。
脳の構造変化が原因と言われていますが、明確な治療法はありません。
ブレインスポッティングでは、
脳は生涯を通じて変化できる、柔軟なもの
である「神経可塑性」という性質があります。
その性質を利用しながら、イップスをはじめ、あがり症や過緊張の改善、また役者さんの役抜き・役作りをサポートなど、パフォーマンスの向上・改善を目指しております。
大切なのは技術的なものだけでなくセラピストとの安心・安全な関係性
とてもユニークな方法なので表面的な技術に目がいってしまいがちですが、前提としてセラピストとクライエントとの間の安心で安全な関係性と環境というのがあります。また、その中でクライエントに起こっていることにセラピストがついていくということ、がとても重要となります。
当カウンセリングルームではブレインスポッティングの専門的なトレーニングを積んだセラピストによるブレインスポッティングを受けて頂けます。
あなたのお悩みにブレインスポッティングは向いているのか?試しに一度受けるのもありか?など御質問などありましたら遠慮なくお問い合わせください。
MPCT(Hanacel)では臨床心理士・公認心理師による専門的・科学的な知見からサポートをおこなっております。
